
伊勢神宮から海岸線へ尾鷲三木里まで
朝4時半、まだあたりは薄暗い中ライトを点けて田んぼ道を走る。
朝から頭痛がひどい。
昨晩は快活クラブの近くにあったサイゼリヤでデカンタの赤と白250mlをそれぞれ頼んで飲んだのが原因だろう。。
アルコールを口にするのは実家に帰った正月ぶり、背徳感を感じながら伊勢路の前夜祭だとデカンタの白ワインを注文、飲み干した頃には調子が良くなってデカンタの赤ワインも注文していた。
二日酔いになるのは一体何年ぶりだろう。
伊勢神宮内宮の入り口に到着したのは5時前。開場の準備をしているところで、それを待つ参拝客も数名。
伊勢神宮の駐輪場にはサイクルラックがあるのだけど、荷物が多くてサドルを引っ掛けれないので、立てかけることに。

開場とともに入場する。こんな早く伊勢神宮に参拝するのは初めて。今回の旅の安全を祈願して出発する。
ちなみに伊勢路はどうやら江戸時代に栄えた巡礼路らしい。海岸線を歩く伊勢路や大辺路は時間に余裕のある庶民に親しまれた巡礼路らしく、お金のない庶民でも施しを受けながら熊野を目指せたのだとか。

女鬼峠へ
伊勢神宮を出発して約1時間で女鬼峠入り口に到着。
伊勢神宮を出発して旧熊野街道(田丸)から坂もなくて平坦な田舎道を走ってここまでやってきた。
旧熊野街道の道標があるくらいで、道標を見てなかったら普通の田舎道。
伊勢路自転車旅で古道の一つも通らなかったら伊勢路に行ったと言えないと思い、それだったら最初の峠は自転車で越えて熊野を目指すのがいいと思ってやってきた訳なのです。
熊野から一番離れたここの峠だったら観光客もほとんどいなさそう、階段もなさそうとくればここ以外に自転車で通るのにうってつけの場所はないだろうと。

女鬼峠の入り口は、道路沿いに道標と熊野古道の旗(のぼり)があるので分かり易い。
入り口の路面は舗装されてるのでそのまま自転車に乗って入ってみることに。
昔の人はお伊勢参りをすませた後、伊勢路のスタート地点である田丸で巡礼衣装に着替え、最初に越える峠が女鬼峠だったそうです。



路面の舗装もなくなり、道も細くなって人一人とすれ違えるくらい。
木の根もでてきて、気づけば里山の登山道。自転車を押して九十九折りになった登山道を登る。
自分で荷物を背負わず、自転車に載せて歩いてると、昔の人は牛や馬を使って荷物を運んだりしたのだろうかと思いを巡らす。峠を越えて降っていくと道が広くなって歩きやすくなってきたのでちょっと自転車に乗って、また降りて押して歩く。
サスペンションがないので振動がダイレクトに伝わる。パンクしないか心配になって、道の悪いところは押して歩く。

路面が芝生になり溜池を横目に進んでいくと車道が見える。しばらく降ると宮川に出た。
一人くらいは登山者がいるだろうと思ったけど会わず。
とりあえず本日の第一目標は達成。時計を見たらまだ9時過ぎ。
川沿いをしばらく走ると国道42号へ出た。ここから熊野を目指して国道を自転車で走っていきます。

海岸線の街を目指して自転車を漕ぐ
なぜか道標の起点が浜松。東京や名古屋じゃなくて浜松なのだ。これが気になって地図を調べてみたら42号の起点が浜松から始まって渥美半島の先から海を渡って三重県に繋がっていることが分かった。
ずっと変わりない景色の国道。店はほとんど見かけない。地図を見る限り紀伊長島まで街らしい街はない。よくある県境を走る国道の山道。いまのところ自転車を押して登るほどの坂はない。いつもだったら車かバイクで走って、時々すれ違うロードバイクを見ながらその自由さに少し憧れを抱いてたけど、実際に走ってると結構大変なのだ。
国道を走ってると、時折、熊野古道と書かれた旗(のぼり)が立ってて、古道の案内がされてるので分かり易いです。
伊勢路のいいところは国道のほかにJR紀勢線も沿線を走ってるので、いざとなったら電車でエスケープできる、そう思うと気が楽です。

荷坂峠に到着。
傍に古道もある。
荷坂峠は江戸時代中期、徳川吉宗の時代に紀州藩の街道整備に伴って「紀伊の国」への正式な玄関口とされた歴史があるのだそう。
ここからいよいよ紀伊の国。

道の駅マンボウで休憩
本日の目標達成。まだ11時前。正直こんな早く到着するとは思ってなかったのでびっくり。荷坂峠から20分かかってない。
本日の計画は女鬼峠を自転車で通過することと海岸線に出ることだったので、ここで目標達成してしまった。
なんともアバウトな計画ですけど、自分の体力的に自転車で一日どれくらい走れるかとか、道の状況だとかが分からなかったのでこんなアバウトな計画しか立てれなかったのです。

それにしても海が綺麗です。癒されます。
道の駅マンボウと命名するくらい、この周辺は定置網でマンボウが獲れるらしく、昔から食用としての文化があるらしい。私は水族館でし見たことがなくて、食べたことはないので、今回挑戦してみようと思って楽しみにしていた。
ランチは少し時間は早いけど、このタイミングを逃したら食べれないだろうと、ワクワクしながら食堂に向かったら休み。外の屋台も休み。残念。
当初は海岸線に出る手前にある山奥のキャンプ場か紀伊長島付近のキャンプ場で野営しようかと思ったけど、まだまだ時間的には余裕がある。
スマホの宿泊アプリを見てたら尾鷲駅周辺のビジネスホテルに空室があるのを何軒か見つけて、平日だからか値打ちなので尾鷲で素泊まりだなと決めて、ランチも尾鷲で食べることにする。
尾鷲までは30km、2時間くらいで予定すると昼過ぎでランチのピークは過ぎて店も空いてるだろう。

海岸線を進み尾鷲市へ
尾鷲市に入る手前に石畳で有名な馬越峠は入り口から石畳。THE熊野古道って感じがします。
ここ三重県は日本屈指のリアス式海岸なので海岸線を自転車で走ると言うよりはほとんど峠道。
気持ちいい海沿いライドとかポタリングというのは自分の中での幻想だった。
時々見える海の景色は絶景だけど、それ以上に坂がキツイ。そしてトンネルが多くて、長い。
数キロに及ぶ長いトンネルで外灯がない車もほとんど通らない、そこは真っ暗闇で、自転車のライトの灯りだけが頼りになる。
トンネルの良いところは涼しくて、道も平坦である場合が多い。
峠を越えた海岸の入江に小さな街があって、またそこから峠を越えて次の街を目指す。店はほとんどない。
尾鷲市に到着したのは13時半。
国道や駅周辺に会社や店や家が密集していて商店街もある。街中を自転車で走りながら、グーグルの口コミを見て良さげな店へ向かうもランチタイム終了の看板。
駅から港に向かって繁華街が続く小さい街だけど、三重県で熊野灘の海岸線では一番大きい街なのだろう。
ってかグーグルマップで三重県の海岸線を見てみると伊勢から南はほとんど山でズームしないと街が見えないじゃないかってくらい、山道を走ってきました。
結局、国道沿いに戻ってロードサイドの食堂へ行こうかと自転車を漕ぎ始めたら通り雨。ちょうどイオンが目の前にあったので雨宿りすること30分。

食堂に到着したのは14時過ぎ。尾鷲で水揚げされた魚介類を販売する土産屋に併設された食堂。
セルフ方式で棚に並んだおかずを自分で選んでご飯と味噌汁はよそってもらう。
朝一から100kmを8時間走りっぱなしだったせいなのか、さすがに疲れが。また雨も降ってきて、食べ終わってから外のベンチで30分くらい休憩する。
ベンチに放課後の高校生が集まってきた。
もうそんな時間かと時計を見たら15時半を過ぎてて、そろそろ尾鷲市内のビジネスホテルか民宿の予約をしようかと思い、スマホでアプリを開く。
事前に目星をつけてたいくつかの宿泊先、道の駅マンボウで休憩してた時に空室を確認してたから余裕だろうと思ってたら、、、なんと頼りにしてた宿泊先は満室。ほんの2時間前まで空室だったのに。。。
近くにキャンプ場があったのでホームページを見ると事前予約が必要だとかで、電話してみるも、、、応答なし。
どうしようかなと考えながら、まだ15時で日没まで4時間近くある。
無料でキャンプできるビーチが隣町の三木里にあるのを見つける。
隣町までは約20kmで日没前までには余裕で間に合う。ビーチを管理する尾鷲市のホームページを見ると予約も不要と記載。グーグルの口コミも高評価。
食べて休憩したら体力も復活した。
次の街まで行くかと自転車を漕ぎ始める。

尾鷲市街から三木里海岸へ
尾鷲市から国道42号をしばらく走ると国道311号と分岐。国道42号は山間を走り熊野市へ、国道311号は峠の続く海岸線の古道沿いを走り三木里へ。
国道311号の入り口から急な登りの峠道。降りて自転車押して登る。熊出没注意の看板を横目にヒヤヒヤしながら進む。
さっきまでいた尾鷲の街が小さく見える。
どうやら三木里までこの峠を越えるらしい。
登ったり降ったりしながら、三木里のビーチが見えたのは17時過ぎだった。
坂道を一気に降りアドレナリン全開で三木里の街へ。ほんとに小さい町というより村でコンビニもない場所だった。自販機がビーチ沿いにあったので水を買う。
ビーチへ到着すると、駐車場のところに車中泊禁止の札が貼られててカラーコーンが立ってて、様子がおかしい。駐車場も事前に予約が必要だと書いてある注意書きを見つける。
グーグルの口コミに書いてある感じと全然違うので、どうしようかなと悩みながら夕暮れの海岸沿いの堤防を自転車で走る。
お気楽にキャンプできるような雰囲気じゃないのだ。
ちょうど向かいから地元の方らしき70代くらいの女性が歩いてきて聞いてみることに。
私「こんにちは。このあたりでキャンプできると聞いたのですが、ご存知ですか?」
地元の女性「今はキャンプできなくなったよ。」
私「そうなんですね、、、、ありがとうございます。」
疲れも相まって、久しぶりに絶望的な気分になる。
聞かずにそのままテント張って、翌日もし言われたら謝れば済む話だったものの、聞いてしまったら泊まるわけにもいかず。。。。
40歳過ぎてもこれかよ、、、自分の考えの甘さが急に恥ずかしくなって、そして虚しくなって、、、、人のいない静かな浜辺の夕陽も相まって涙が出そうになった。
とりあえず海岸から駅の方に向かって歩く。
まだ電車も走ってるのでいざとなれば輪行して近くの大きい街で宿を探すこともできる。でもそれはしたくなくて、それするくらいなら帰ろうかなとも思っていた。
そんなこと考えながら自転車を押して海岸沿いの道に出たら民宿がある。看板に書いてある電話番号にダメもとで電話してみることに。
女性の方が電話にでられて、部屋が空いてるとのことで素泊まりだったらできるのだとか。値段を聞いてみたら素泊まり4500円だったので即決。
助かった〜。。。

早速民宿の玄関に入ると女将さんが出迎えてくれて挨拶する。
自転車は車庫に置いていいとのことで、車庫の隅に置かせていただくことに。
玄関を上がってすぐのところにある棚の上に皇后雅子さまの写真が飾られてて、それを見たら今はもう亡くなった母方の祖母の家にいつも置いてあった女性自身を思い出す。
さすがに平日でシーズンオフの海岸に自転車でやって来た中年のおっさんがいきなり夕方素泊まりできますかなんて押しかけるなんて、なんだか恥ずかしさで宿の女将さんに頭垂れっぱなしで目を合わせれなかった。
入り口の受付で書類を記入して、宿泊代を現金で支払ってから部屋の鍵を渡される。どうやら客は私だけっぽい。
20分後にはお風呂の湯が沸くので入れるとのことだった。
階段を上がって2階の部屋に。

喫煙可能の部屋だけどタバコ臭くなくて嬉しい、そして布団で寝れる。
荷物を置いて、浴衣に着替えてお風呂に。
お風呂から部屋に戻ると、外は大雨。ほんとにギリギリセーフだった。
そして雨は朝まで降り続いた。尾鷲市内を出発する前に天気予報見た時は晴れ予報だったけど。
あまりにも疲れてたせいなのか20時過ぎには寝てしまっていた。手元にある食料がインスタントのお吸い物しかないのでどうしようかと思ってたけど、そんなこと心配する余裕もなかった。
テントで泊まってたらきっと浸水して寝れなかっただろう。
こうゆう時に運という存在を実感する。
