上高地から涸沢まで地味に遠い
とりあえず上高地から涸沢までが地味に遠い。何度も地図見ながら、まだ時間かかるなと思いながら到着した涸沢は、そりゃすごい。人に勧めたくなる。
登山口である上高地へは自家用車の場合、平湯温泉近くのあかんだな駐車場(1日600円)、もしくは沢渡駐車場(1日700円)に車を停めて、上高地行きバス(あかんだな往復:2090円・沢渡往復:2300円)に乗り換えて30分、上高地バスターミナルに到着。
時期によっては上高地バスターミナル行きの高速バスもあるので便利。
バスターミナルを降りたらすぐ河童橋。平日にも関わらず、観光客で大賑わいしてるのを横目に、靴紐を締め直して小梨平キャンプ場方面に向かいます。
熊出没事件で閉鎖していた小梨平キャンプ場は9月の中旬に復活した様で、平日だけどテントサイトにテントがちらほら張られてました。
小梨平を過ぎて、明神館まで歩いてきたけど、涸沢方面から下山する登山の人とはすれ違うけど、涸沢方面に向かうであろう登山の格好した人は自分しかいなくて心細い。少し足早になる。おそらく登る人は早朝に出発するのだろう。
しばらく歩いていると登山道に猿の群れ。
気にせず進む。梓川沿いを歩きながら紅葉と山の景色を見るのは気持ちいい。
1時間歩いただろうか、徳澤キャンプ場。
レストランがあってここで休憩している観光客、外のテーブルの上でバーナーを使って調理している登山客。
ここまでは、道も平坦で観光客もまだいる。
ここに来て涸沢方面へ歩いている登山客が数人いて安心する。
休憩する事なく通り過ぎて、しばらく1時間は歩いただろうか。
13時前に横尾山荘に到着。
ここまで来ると登山客しかいない。
横尾を過ぎた辺りから、涸沢に向かう登山客が増える。
そして今まで平坦だった道が登山道になる。
後ろから30代前半くらいの山ガールが猛スピードで登山者を追い越していく。大股で、でかいケツ(失礼)をふって歩く姿が勇ましく、きっと子供たくさん産むんだろうななんて考えてしまう。
涸沢カールまで登山道を2時間の登る。
登山道は整備されていて危険も感じる事なく歩き易い。
名物のおでんとビール
目的地の涸沢ヒュッテに到着したのは15時過ぎ。
平日にも関わらず登山客で賑わっていた。
早速テント場に向かうと、受付に人が並んでいた。
自分も並んで受付をする。名前、住所、連絡先、翌日の行動ルートを用紙に記入して幕営料1000円を払う。
必要であれば500円でコンパネをレンタルする事も。
テント客はヒュッテにある水場とトイレが無料で使えるのでありがたい。
しばらくするとヒュッテからアナウンスが聞こえる。
どうやら売店が17時に閉まるらしい。
急ぎでテントを張って、荷物をバックパックから出して整理する。
時計を見たら17時前、慌ててヒュッテに行って、おでんとビールを注文する。
とりあえず涸沢ヒュッテ来たらおでんとビールと決めていた。
テラスから見える穂高岳と紅葉を眺めながら、おでんとビールを食べる。
目の前に広がる景色がフォトジェニックすぎてしばらく余韻に浸る。30分くらいテラスに座ってただろうか、周囲が暗くなってきたのでテント場に戻る。
今回使用したザックの紹介
今回の1泊2日のテント泊装備は、昔から使ってるモンベルのバランスライト30とアークテリクスのアロー8に入れて涸沢まで登ってきた。
軽量な道具を持ち合わせているのかと言われたらそうでもないけど30リットルのザックにテント泊装備は入った。アタックザックで使う人がいてもおかしくなさそうな薄くてペラペラなザック。現行だとパーサライト30になるのかな。ポケットは雨蓋にあるだけ、外付けもポール用のループだけでシンプル。
このバックの個人的おすすめポイントは普段使いでもできるところ。必要最小限に削ぎ落とした見た目のシンプルさとウエストのヒップベルトが簡易で細いので、登山バッグっぽくない。街で使用してても違和感ない。
周りを見渡すと、ここアルプスでテント泊してる人は45リットルから60リットルのバックパックを使用している人が大半。この感覚ってバックパッカーをしてた時、半年以上の旅人は45リットルから60リットルくらいのバックパックを使用している中で約1年の旅をしている自分は30リットルのバックパックだったを思い出した。
考えたら中学生まで自分に与えられた勉強部屋は3畳だった。中学にもなると身体も成長するので、3畳は寝るスペースしかない。なので、その狭いスペースをいかに有効活用するかが死活問題だった。必要最低限でとにかく無駄を省くことばかりを考えていた。おそらくこの頃の癖が大人になった今でも身に染み付いてるのだろう。
ちなみにこのザックは10キロ超えると肩が痛い。フレームのないバックパックだからしょうがない。
日が暗くなる前に、晩ご飯。フリーズドライのパスタにパンを浸して食べる。
フリーズドライのクオリティは高い。
そして持参していたウィスキーを飲む。日が暮れてくると一気に寒くなる。テントに入って、寝袋にくるまり、ウトウト。気づいたら寝ていて、トイレに行きたくなり夜中に目を覚ます。
23時前でまだ起きてる人もいた。星空はガスが出ていて見れなかった。
目覚めるとまだ薄暗い。時計を見ると5時前。トイレに行って、水場で水をくみテントに戻る。
寒い。
歯磨きをして、顔を洗う。少し明るくなってきた。
朝ごはんにアマノフーズの炙りシリーズお粥を食べる。
辺りはガスってて視界がよくない。
しばらくすると晴れてきて山がきれいに見える。
ちょうどモルゲンロートの時間。
紅茶を沸かしてしばらく見惚れる。
パノラマコースで下山
涸沢ヒュッテを出発する頃には8時になっていた。
何を血迷ったか初心者のくせしてパノラマコースで上高地に下山する事にした。
ヒュッテを降りてすぐパノラマコース登山口。
看板に注意書
ストック禁止、登山道は狭くて険しいので慣れてない人、朝9時以降の出発はやめて下さい
注意書きに少しビビりながら、パノラマコースを進む。
パノラマコースで下山する登山者は少し遠くに一人見えるだけ。さっきまでの涸沢の賑わいはここにはない。登山道は狭く崖になっててすれ違うのも大変なので、自分の様に慎重に歩いて進むのが遅いと、後ろから来る人は大変である。あいにく後ろに人がいないので救われる。
しばらく狭い道を登る。しばらく登ると、さっきまでいたヒュッテとテント場が小さく見える。
一気に高度上がっていることに気づいて、こりゃあ大丈夫かなと心配になる。
崖沿いの狭い登山道にロープが張られた場所をトラバースして進む。怖い。救いなのは樹林帯で木が生えてて落ちてもひっかりそうなことくらいだ。高度を上げながら慎重に進むと目の前の登山道の段差の上に木の板が置かれている。途切れた登山道に木の板が置かれて橋になっているので、慎重に段差を手と足を使ってよじ登って、木の板を渡る。
テント装備でこんなとこ歩くとは。あの登山口の注意書は正しい。そして何より不安なのは人がいないことだ。これは甘く見たなと後悔しながら、しばらく進んだら稜線に出た。どうやら山場は終わっていたようだ。
さっきまでの鬱蒼とした気分は晴れて稜線歩きを楽しみながらしばらく進む。後続から追いついてきた女性が槍ヶ岳見えると教えてくれた。しばらく進むと看板の周辺にバックパックが置いてある。
看板に屏風のコルと書かれていた。
屏風のコルから屏風の耳へはピストンで戻ってくるから、ここに荷物をデポして、屏風の耳へ向かう。
岩山を15分くらい登ったら石碑がある。
”山への情熱は永遠に” と刻まれていた。
更に進むと岩の上に先客が何人か座っていた。
穂高連峰、槍ヶ岳が目の前に見える。
遠く眼下にさっきまでいた涸沢も。
ここまで歩いたのが報われた気がする。
下山の癒しはソフトクリーム
徳沢まで3時間の下りは登山道も整備されてて危ない箇所もない。
降りで距離が長いので足のつま先が痛くなる。普段ほとんど使わないストックのありがたみを知る。
徳沢に到着して、外のテーブルで昼食。お湯を沸かして、ラーメンを作って食べてたら、屏風のコルからずっと後ろを歩いてた初老の夫婦にお疲れ様と声を掛けられ、お疲れさまですと笑顔で返す。ほんとお疲れ様と言いたくなるルートだった。旦那さんが「人が全然いない登山道で不安だったけど前にいてくれて安心した」と、「いやいやそれはお互い様です」と返す。
なんだか考えてることは一緒でほっとした。
レストランでソフトクリームを買って食べる幸せ。
いい大人が無心で頬張る。
徳沢から2時間歩いて、上高地に下山。
とにかく歩いたので足がガクガク。
身体もボロボロだけど気分は良いのでした。