【登山】世界遺産 知床半島 羅臼岳の紅葉とヒグマ

【登山】世界遺産 知床半島 羅臼岳の紅葉とヒグマ

岩尾別登山口から秋の羅臼岳登山

9月の中旬頃にキャンプツーリングで北海道を旅行してました。そこで訪れた世界遺産、知床半島の100名山、羅臼岳に斜里町側の岩尾別登山口から登ってきました。9月中旬でしたが羅臼岳は紅葉が始まってて、山頂付近は霜が降りてました。

ちなみに登山口は今回私が登った斜里町側の岩尾別登山口と羅臼町側にある羅臼温泉登山口でどちらも登山口に温泉あり。ほとんどの登山者は斜里町のウトロ側にある整備の行き届いた岩尾別登山口から入山するっぽい。私はソロでヒグマの恐怖を考えると、人の多い岩尾別ルートから登ることにする。

そして羅臼岳登山の注意点。植生を乱さないために携帯トイレに用を足さなければいけないので事前に携帯トイレの準備が必要。登山道の途中にトイレブースありましたが、あいにく登山中にトイレに行きたくならず、トイレブースがどうなってるかは確認できず。

登山口に向かう途中にヒグマ発見

登山口までは知床の観光拠点ウトロから車で20分。私はウトロにある国営知床野営場でキャンプしてたので、登山口までは20分くらい。7時には登山開始したかったので、6時過ぎにキャンプ場を出発。

9月中旬の知床は晩秋並みに朝晩冷えるのでインナーダウンにレインジャケット着用してバイクで登山口まで向かう。

道順は知床横断道路から知床公園線からイワウベツ川沿い林道をしばらく走って登山口。分岐に気をつけて走るだけ。

ただ心配なのは一つだけ。

街中を抜けて海沿いから林道に入ると早速、熊注意の看板。知床横断道路では毎日のように出没情報があるだけに、エサを与えるな、近寄るななどの注意喚起が看板に書かれていた。

海沿いの峠のようになったところから降った公園線を走ってると路肩に車を停めて望遠レンズで撮影している人がちらほら。バードウォッチングだろうか。

写真はないので、イメージ図で。

更に進むと路肩に10台くらい自動車が停まってて、外に人も20人くらい出ている。これだけの車と人がいるのだから最初登山口だと思ったけど、グーグルナビを見ると登山口まで10分かかる。登山口は確か公園線から川沿いの道に入ってまだ数キロ進むはずで、まだ川沿いの道にさえ出ていない。そんな手前に車を停めるほど登山客で賑わうだろうか。外に出てる人は森の中を望遠レンズのついたカメラやスマホで撮影している。気になったのでバイクに乗ったまま停まって、森の中を見たら100mくらい先に黒い動物が動いてた。

ヒグマだった。

今まで野生のクマっぽい動物に出くわした経験は一度あるけど、正直それがクマかどうか自分でも確信が持てるほどじっくり見てはなかったので、なんとも言えないけど、今回確信が持てるほどじっくり見ることができた。

ニュースで見るように、あたりが騒然とするのを思い描いてたが、ここではいざとなったら車に逃げ込めるので、実際に見た光景はサファリパークのようだった。

登山口に向かう途中のイワウベツ川沿いでも林道の路肩に自動車が数台停まってて、望遠レンズを構えた人が川沿いに降りていた。

看板にエサを与えるなとか近寄るなとか書いてある理由が理解できる。ちなみに人間がヒグマにエサを与えると寿命が縮まるとの研究結果があるらしい。

木下小屋の裏手に登山口

登山者はホテル地の崖の前にある駐車場と手前の林道の路肩に停めていました。訪れた日が休日だったので駐車場は満車で林道まで車が溢れてて、この日おそらく100名くらい入山してたんじゃないだろうか。私はバイクだったので駐車場の少し空いたスペースになんとか停めることができました。

ヒグマの巣窟と言われる知床半島で登山だったので、人の多そうな休日に予定を合わせました。ヒグマが心配な方は人が多い休日がおすすめ。

登山口は木下小屋の裏手にありました。登山届の記入もここでできました。ちょうど登山口に欧米からの登山グループが4人いてしばらく後ろをついて登ることに。

知床は世界遺産のせいか、外国人観光客が多い。特に欧米の観光客が多くキャンプ場でも多く見かけた。会話を聞いてるとだいたい英語圏かフランス語圏。前を歩いてるグループは英語を話している。時々聞こえてくる会話を聞きながら、多分この発音はイギリスだよなと考えながら歩く。

登山開始したのは予定通りの7時。北海道は緯度が高いので白樺とかブナとか木の幹が白いので日本じゃないような気分になる。

しばらくすると欧米人グループが休憩で停まったので先に行かせてもらう。すれ違うときにグループの一番後ろを歩いてた浅黒い少し太った男性が日本語で先に行ってくださいと言われて、その日本語がネイティブだったので驚いた。どうやらこのグループで彼だけ日本語を話せるっぽい。

30分くらい登ったところでオホーツク展望。海が見える場所にでる。

私の前を歩くのは30歳前後の金髪のインナーメッシュが入った今時な綺麗な女性。クライミングパンツにハードシェルジャケット、コバのついた登山靴で腰にベアスプレーをぶら下げて、まるで登山者の見本のようだ。

私はベアスプレー持ってないから、このままこの人の後ろ歩こうかと思ってみたりする。

正にその女性のケツ追うように(別にそのつもりはないけど)しばらく歩く。

しかし15分くらいして、女性が息を切らして立ち止まり休憩を始める。かなり疲れた表情で先に行ってくださいと。せっかくなので道を譲ってもらい、先に行くことに。

水場がある。動物が多いので浄水器必須。

この奥にトイレブースもあり。

そろそろ樹林帯を抜けるっぽいな。

この辺りはクマの好物の蟻が多い。

振り返るとオホーツク海の絶景

気づいたら樹林帯を抜けて谷。ここを登ってくらしい。

後ろを振り返ると100mくらい後ろにタンクトップの女性が猛烈な勢いで追い上げてくるのが見える。さっき前を歩いてた綺麗な女性だ。さっきまで着ていたハードシェルジャケットは脱いでタンクトップで、、、物凄い本気を感じてしまった。。。

気づいたらその差20mくらいまで迫っていた。凄い追い上げだなと思ってよく見たら欧米の人だった。背格好も髪型も服装も似ていて遠目からだと分からなかった。日本の英会話スクールで働きながら旅してそうな30歳半ばくらいの女性だった。

よく考えたら日本人の女性でタンクトップで登山ってあんまないよな。

振り返るとオホーツク海の絶景。知床5湖が見える。

ここは半島なので左右が海という不思議な感じ。

この辺りで少し立ち止まって景色を眺めながら写真を撮りながら休憩する。

ペースの早そうなタンクトップの女性が来たら道を譲ろうと思ったのだけど、後ろを見たら同じように休憩している。

しばらくして再び登り始める、足元の石を踏んだらクシャッと音がして潰れた。氷だった。それ見てた後ろを歩いてたタンクトップの女性が「oh!」と一言。気づいたらタンクトップだった女性は上着を羽織っていた。気温一桁台だな。

ハイマツの生い茂る羅臼平

谷を登り切ると羅臼平。緯度が高いので1000m越えると森林限界。まるでアルプスの景色。ここまでに2時間半かかった。

綺麗に整地されたテント場がある。夏にここでテント泊は良さそうだけど、やっぱヒグマ出るんだろうな。フードロッカーありました。

山頂付近は岩だらけ

羅臼平から羅臼岳の山頂に向けて最後の登りは岩だらけでガスガス。この辺りは紅葉していて綺麗。ここからいきなり岩山で3〜40分は岩登り。

この辺りは遮るものがなくて風が強い

相変わらず付かず離れずで10m後ろにタンクトップの女性。先に行ってほしいんだけどな、、、。

山頂の手前に最後の岩があった。その間をすり抜けるのが正解なのだけど私は間違えて岩に乗り上げてしまって途中でルートじゃないのに気づいて引き返す。後ろからついてきてたタンクトップの女性は引き返さずそのまま岩の上を乗り越えて、こっちを振り返ってにんやり。しばらくそれが頭の中に残った。

そんなに広くない頂上の隅の岩陰でカップルが凍えながら食事をしていた。

ガスで展望のない山頂をウロウロ歩く。爆風なので立ってるだけで吹き飛ばされそうで、その風が冷たく肌につきささる。

時折晴れて雲の隙間から街が見える。

羅臼平まで降りてから休憩しようと振り返ると、タンクトップの女性が岩陰でカバンを降ろしてるところだった。カバンからダウンジャケットを取り出して羽織り、一緒に取り出したパンを食べていた。

凍えながら食事している後ろ姿に哀愁を感じた。

そんな山頂を尻目に私は下山を始めた。

羅臼平を上から見るとこんなに広いんだと驚く。

下山してたら登山口で一緒だった欧米人グループとすれ違うが、4人だったはずが3人になっていた。一番後ろを歩いてたあの日本語を喋る男性はリタイヤしたのだろうか。登っている時にかなりキツそうな顔してたのを思い出した。

降りの方が景色を眺めれて気持ちいい。

相変わらず頂上はガスっている。

羅臼平に降りたとこにあるベンチに、欧米人グループの一番後ろを歩いてた日本語を喋る男性が一人座っていた。目が合って挨拶したら、苦笑いで返された。

それにしても寒い。樹林帯に入って風がないとこまで行ってからランチをすることに決めた。

知床連山を見ながら夏に縦走とか楽しいだろうな、でもヒグマ怖いなと思いながら下山してたら、右足の靴のつま先のソールがパカパカしてる事に気づく。つま先が外れていた。

このメレルのモアブも気づいたら5年以上はいてるから寿命か。とりあえず今回の旅行中は持ちこたえてもらわないと。

まだ登山の予定もあるんだけどな〜と思いながら下山。

行動時間 6時間38分 距離 12.8km 累積 1448m/1453m